『おじさまと猫 1』桜井海著 〜笑って泣けるブサかわ・ふくまるとの日々〜

『おじさまと猫 1』桜井海著  〜笑って泣けるブサかわ・ふくまるとの日々〜

ねこ本書評 #01

ツイッター発のねこマンガ『おじさまと猫』。成猫になって、ペットショップで居残りになってしまったエキゾチックのねこは「どうせ私にゃんか…かわいくないし」と、もうすっかりあきらめムード。そこへ現れた謎のおじさまが、迷わずそのねこを選んで「うちの子におなり」と抱きしめます。のちに”ふくまる”と名付けられるそのねこは、大感激して…。

趣味のツイッター連載から人気急上昇

そんなスタートを切った『おじさまと猫』はしばらく作者の漫画家・桜井海のツイッター上でだけ更新されていました。この読み切り・ねこ漫画は、その後、どんどん人気が集まって書籍化されることになったのですが、それがこの『おじさまと猫』第1巻です。 

Twitterで注目されたふくまるのかわいさ

人恋しかったふくまるは愛情全開

表紙のねこが、主人公のふくまる。確かに、美猫とは言いがたいけれど、とにかくこの子が「かわいい!」と大人気なのです。ツンデレではなく、とことん甘えるタイプ。なにしろ、ペットショップでいじけながら育ったので、おじさまの愛を感じるたびに、目を潤ませてスリスリ、にゃあにゃあ。いちいち感動してる姿が、たまらなく愛らしいのです。 

一方、ナイスミドルのおじさまの方も、ちょっとワケありで、奥さんに先立たれての一人暮らし。寂しさに慣れてしまっていたのですが、ふくまるを迎えてからは、そのかわいさに夢中になり、張り詰めていた心が緩みっぱなしに。そうして、奥さんや子どもと暮らした日々を思い出すことも増えていくのです。この漫画は、そんなヒューマンドラマでもあるんです。 

裏表紙にもいろんな表情のふくまるが!

まるで初恋みたいな関係

おじさまは、ふくまるが初めて一緒に暮らすねこ。ふくまるも、おじさまの家が初めて迎え入れられた家。お互い”初めて”で初恋みたいな初々しさが、とっても微笑ましい感じ。もちろん”ねこあるある”のネタもいっぱい。ねこ草あるある、留守番あるある、トイレあるある、爪研ぎあるあるなど、ねこと暮らしている人が読めば、ついニヤニヤしてしまうエピソードが満載。 

おじさま世代の男性がタイプの人を”枯れ専”なんて言いますが、この漫画のおじさまは、シュッとした大学教授。かっこいいのに、ふくまるにどっぷり溺れてしまって、そのギャップがまた素敵なのです。また途中からサブキャラクターで、おじさまの友人の小林という男性も登場。小林氏は溺愛している犬がいて、おじさまと小林氏は、ねこのかわいさと犬のかわいさを自慢しあい、張り合ったりも。この愛猫家と愛犬家のプチバトル、コミカルに描かれていて、とても笑えます。 

ふくまるへの愛溢れるまなざしは、ねこ好きなら共感必須

ねこのふくまるがとってもかわいくて、笑えて泣ける『おじさまと猫』。漫画好きの人もねこ好きな人にも刺さる一冊です。

(編集部)


書籍情報

『おじさまと猫 1』
著者:桜井海
発売日:2018年2月22日
定価:本体815円+税
判型:A5判
出版社:スクウェア・エニックス