「おうちでできる簡単採尿テクニック」/教えて!獣医さん #03

「おうちでできる簡単採尿テクニック」/教えて!獣医さん #03

解説/猫の診療室モモ院長・谷口史奈先生

(モデル:カメール、ミニー/写真提供:@mogum
(モデル=カメール、ミニー/写真提供=@mogumi

ねこさんのおしっこが健康かどうか、できれば定期的に尿検査にいきたいもの。かかりつけの動物病院であれば、カルテに記録があるので尿検査だけでも受け付けてくれる場合が多いです。尿を病院に持って行くだけなら、病院嫌い、キャリー嫌いのねこさんでもストレスなく健康状態がチェックできますよね!でも、その採尿に悩んでいる飼い主さんも多いのでは。 そんな方に向けた、採尿テクニックをお伝えします。

誰でもできる採尿の方法を教えてください

谷口先生:
主に3つの方法があります。

①システムトイレの下段を空にして、上段には崩れない砂を入れる(衛生面が気になる場合は、ペットシーツを裏返しにして下段に敷いておく)

②おしっこするタイミングでお玉をねこさんの股下に差し出す

③動物病院で専用の採尿キット「ウロキャッチャー」をもらい、直接股下に差し出す 

どうしても固まる砂でしか排尿しないねこさんの場合、砂の量をごくごく少量にしておき、流れ出た尿を採取することができます。そういう時にも③の「ウロキャッチャー」は役立ちます。 

これが「ウロキャッチャー」。動物病院などで販売されています

採取したおしっこはそのように病院に持って行けばいいでしょうか

谷口先生:
例えば以下のような方法が一般的です。

  • 清潔な空き瓶に入れる
  • チャック付きフリーザーバッグに入れる
  • スポイトで吸い取り、そのまま持参
  • お弁当用のしょう油差しで吸い取り、そのまま持参 

どの方法で採取しても、こぼれないようにフリーザーバッグなどに入れて、持って行くときまでは冷蔵庫で保管してください。尿はなるべく新鮮な方が正確な結果が出るので、採取後「3時間以内」に動物病院に持って行くのが理想です。すぐに動物病院に行けない場合でも、きちんと冷蔵していれば一晩までは大丈夫です。

尿の量はどれくらいあれば尿検査が可能ですか

谷口先生:
検査に使用する機械や方法によって異なりますが、10ccあればおそらくすべての動物病院で尿検査ができ、さらに追加で特殊な検査が必要になった場合でも足りると思います。どうしても充分な量が採れない時でも、1ccくらいあれば最低限の項目を見ることができるので、検査をお願いしてみてくださいね。 

(写真提供=CAT’S INN TOKYO

自宅で採尿する以外の方法を教えてください

谷口先生:
採尿方法は主に4つあります。

①自然排尿…自然と出たおしっこを採取する。家で採尿する場合はこの方法になります。 

②圧迫排尿…腹部を押しておしっこをさせます。圧迫時に尿が腎臓に逆流することがあり危険なので、現在は推奨されていません。膀胱に尿が溜まった雌猫では軽く腹部を押すだけで排尿することがありますが、家庭で行うのはやめましょう。

③カテーテル採尿…動物病院で尿道にカテーテルを入れて採尿します。膀胱にあまり尿が溜まっていなくても採取できますが、雌では非常に困難です。 

④膀胱穿刺…動物病院でお腹から直接膀胱に注射の針を刺して採尿します。 

尿検査の結果が最も正確に出る方法は④膀胱穿刺です。なんとなく怖そうと思われがちですが、カテーテル採尿より本ニャンの不快感も少ない場合がほどんどです。なるべく、半日ほをがまんした状態で動物病院に行きましょう。病院に行くことがストレスになるねこさんは、①の方法が飼い主さんもねこさんもストレスがなくて現実的です。尿検査は最低でも年に1回、結晶ができているねこさんであれば、主治医の先生と頻度を相談しながら定期的に検査してあげてくださいね。 


獣医師プロフィール

谷口 史奈(たにぐち ふみな)

福岡県北九州市出身。山口大学農学部獣医学科獣医病理学研究室卒業。小動物全般を診る動物病院に3年、猫専門病院に2年半勤務したのち、2016年8月に女性スタッフだけのねこ専門病院「猫の診療室モモ」を開院。幼いころから「ねこが好きで好きでしょうがなくて」獣医師になっただけあり、ねこ変態度は「暴れる子でも、怒れば怒るほど可愛く感じてしまう」という最上級。愛猫はいずれも保護ねこの茉莉(ペルシャの女の子)とはんにゃ(MIXの女の子)。2018年8月には人間の女の子を出産し、ママ獣医師として多忙な日々を送る。

猫の診療室モモ http://momoneco.com/