「結晶結石防止は一に飲水、二に飲水!」/教えて!獣医さん #02

「結晶結石防止は一に飲水、二に飲水!」/教えて!獣医さん #02

解説/猫の診療室モモ院長・谷口史奈先生

砂漠の生き物だった名残で、体の構造上、濃いおしっこをするというねこさん。それゆえに結石やじん臓病などの病気に悩まされてきました。健康な泌尿器を保つ予防策には、とにかくお水をなるべく多く摂ること。それにはどんな工夫をすればいいのでしょうか。というわけで、今回はねこさんの負担にならず、楽しくたくさん飲んでもらう方法を教えていただきます。 

前回、お水をたくさん飲むといいとお聞きしましたが、具体的にどんな方法がありますか??

谷口先生:
低コストですぐに実践できる簡単な方法がいろいろありますので、整理してみましょう。

ねこさんにお水を飲んでもらう方法

①水入れをたくさん置く
ねこは水を見かけたら飲む習性があるので、ねこの通り道にあちこち置く。頭数と関係なく10個以上置くと良い。一番手っ取り早く安上がり。今すぐに実践できる方法。 

(撮影:ねこたろう) 

②お湯にする
ねこによってはお湯の方がよく飲む場合がある。

③ファウンテンで楽しく飲む
ねこの好奇心を利用した飲水量アップ方法。常に流れている水にねこが興味をもち、遊びながら飲むようになる。ねこ用のファウンテンがいろいろ販売されている。ただし、ねこによっては関心をもたないことも。

(写真提供:高円寺ニャンダラーズ

④お風呂場で遊ばせる
チョロチョロ水を出してあげて遊ばせる。1滴ずつ落ちる程度に水を出しっぱなしにするのも有効(漏水には注意しましょう)。

⑤器の素材を工夫する
ステンレス製はねこが怖がる場合がある。理由は顔が映るからとも光るからとも言われている。プラスチックの器は噛んだり爪で抑えたりして傷がつき、雑菌が繁殖しやすいため、密度の高い磁器が良い。人間も金属やプラスチックより磁器やガラスの方が水がおいしく感じるが、ねこは敏感なので、器によって飲水量が違う可能性もある。

⑥ウェットフードをお湯で伸ばしてスープに
ウェットフードにたっぷりのお湯を混ぜ、スープ状にするとよく飲む。温度は人肌程度に。ねこに人気のペースト状おやつは味も風味も濃く、お湯にも溶けやすく便利。

どれも簡単に実践できるものばかりですね!

谷口先生:
うちの茉莉さん(先生の愛猫・ペルシャの女の子。飼育放棄されて引き取ったたねこさん)でどれくらい飲むものか試してみたところ、ウェットフードを伸ばしたスープを200ccもペロリと飲みました(笑)。ただし、腎臓病や糖尿病など、病気の症状で多飲多尿になるものもあるので、おしっこの色やにおい、回数なども気をつけてあげてくださいね。ぜひ定期的な尿検査を行って、愛するねこさんを守ってあげましょう!

スープ200ccを一気飲みした茉莉さん(写真提供:猫の診療室モモ

獣医師プロフィール

谷口 史奈(たにぐち ふみな)

福岡県北九州市出身。山口大学農学部獣医学科獣医病理学研究室卒業。小動物全般を診る動物病院に3年、猫専門病院に2年半勤務したのち、2016年8月に女性スタッフだけのねこ専門病院「猫の診療室モモ」を開院。幼いころから「ねこが好きで好きでしょうがなく」獣医師になっただけあり、ねこ変態度は「暴れる子でも、怒れば怒るほど可愛く感じてしまう」という最上級。愛猫はいずれも保護ねこの茉莉(ペルシャの女の子)とはんにゃ(MIXの女の子)。2018年8月には人間の女の子を出産し、ママ獣医師として多忙な日々を送る。

猫の診療室モモ http://momoneco.com/