ねこの拾い方・基本編〜出会ってしまったあなたへ/もしもねこを拾ったら#01

ねこの拾い方・基本編〜出会ってしまったあなたへ/もしもねこを拾ったら#01

「ねこを拾ってしまった…」「拾うべきねこ出会ってしまった…」。そんな経験をしたことのある人は少なくないと思います。一口に「ねこ」と言っても、へその緒付きの乳飲み子から天のお迎えの近い高齢ねこまで様々。健康状態もケースバイケースです。では、「もしもねこを拾ったら」具体的にどうすれば良いのでしょうか。日ごろねこの初動保護に携わることの多い私たちが行っていることをベースに、お伝えします。

※正解は1つではありません。あくまでもCAT’S INN TOKYOでのやり方です。

とにもかくにも動物病院へGO!

ねこがどんなコンディションであれ、まずは動物病院へ行きましょう。病院には事前に連絡して、ねこを拾ったことを伝え、状況や体調を伝えます。ねこは感染症がとても怖い動物です。保護したばかりのねこはどんな感染症を持っているかわかりません。受け入れる動物病院もそれなりの受け入れ態勢を整える必要があり、一般の患者ねこさんと接触しないように気を遣わなければなりません。

夜中にねこを拾ってしまった…!

重症と思われる体調の場合は、夜間対応可能な動物病院や、各地にある夜間救急を行っている動物病院に電話で相談し、必要に応じて診察してもらいましょう。通常夜間料金が加算されますが、相場は1万円〜2万円です。それに加えて一般の診療料金がかかります。応急手当をしてもらったら自宅へ連れ帰り、以降は一般の動物病院に通院します(夜間救急病院は一般診療をしていない場合があるため)。

病院にお願いすることは?

まずは全体の状態を診てもらいます。健康状態が良好であれば、以下を行います。

①マイクロチップの確認
もしかしたらそのねこさんは迷子の飼い猫かもしれません。動物病院であればあマイクロチップリーダーがあるので、必ず読み取ってもらいましょう。もしもマイクロチップが入っていたら、情報を管理している獣医師会で照会してもらい、飼い主さんに連絡をとってもらいます(マイクロチップ自体には個人情報は入っていません)。

②ノミダニの駆除
レボリューション、ブロードライン、フロントラインプラスなど。首筋に滴下します。小さな子猫の場合は塗布するタイプを使うことも。この薬を投与する前後1〜2日はシャンプーは避けます(施術を受ける病院によって薬剤が違うので、具体的確認してください)。

③3種混合ワクチンの接種
3種とは、「猫ウイルス性鼻気管炎」「猫カリシウイルス感染症」「猫汎白血球減少症(パルボウイルス感染症)」のことです。これは、保護したねこを感染症から守るために必要なものです。飼いねこになるのであれば、1カ月程度の期間を置いて2回〜3回打つのが一般的です。

④ウイルス検査
採血して、「猫白血病ウイルス(FeLV、猫白血病ウイルス)感染症」「猫免疫不全ウイルス(FIV、猫エイズウイルス)感染症」に感染しているかどうかを調べてもらいます。もしもいずれかまたは両方が陽性だったら、いろいろと対処をしながら暮らす必要があります。

おうちに連れて帰ったら

診察や施術が済んだら、いったん自宅に連れて帰ります。もし先住ねこさんがいる場合は、少なくとも2週間はお部屋を分けるのが理想です。隔離期間を設けることで、重篤な感染症などが潜んでいないか観察しつつ、お互いの存在に慣れさせます。

分けるスペースがない場合は、病院に入院させるのもお勧めです。

当日〜後日にやること

①ウンチが採れたら検便
回虫や条虫など寄生虫の卵や、原虫がいないかを調べてもらいます。場合によっては猫汎白血球減少症(パルボウイルス感染症)の有無も調べます。

②尿検査もしておきましょう
結晶や結石などの異常がないか見てもらいます。尿検査は年に1〜2回のペースで検査することをお勧めします。特にオスねこさん、ぽっちゃりさん、ドライフードを食べているねこさんはリスクが高いそうなのでぜひ。

③シャンプー
ねこさんの状態にもよりますが、あまりにも汚れている時はシャンプーを先に行う場合もあります。ただし、シャンプーを行うと、タイミングや体調によっては①②などの処置が数日できなくなることもあるので、通常は後回しになることが多いです。ねこさんはワンちゃんと違って体臭もなく、自分できれいにグルーミングしてくれますが、保護したら一度は洗うことをお勧めします。

④各機関に連絡
交番や警察署、保健所、動物愛護センターなどに、保護したねこさんと思われる迷子ねこの届け出がないか確認しましょう。同時に、ネットやポスターでねこを保護していることを発信します。

自宅でのねこさんの管理方法

最初はケージに入れましょう。ねこさんもその方が落ち着きます。トイレとベッド、ごはん皿、水入れ、爪研ぎなどを入れるので、フラットケージであれば棚板を取り付けてあげると良いでしょう。当店では100均ショップの「ワイヤーネット」を結束バンドや紐でケージにくくり付けて、中段を作っています。ねこ用の立体ケージだとストレスも軽減できますが、逆に広すぎると中で逃げ回るので通院時の捕獲が大変です。二段ケージくらいがいいかもしれません。

寒い季節は保温も必要です。ペット用ヒーターや使い捨てカイロの利用もお手軽ですが、おすすめは湯たんぽ。危険もなく、じんわり温めてくれます。朝晩お湯を交換すれば1日中ポカポカです。また、ケージが丸見えだとねこさんが不安になるので、シーツなどの大きな布ですっぽり覆って見えなくしてあげましょう。

脱走に注意!

知らないおうちに監禁されて、ねこさんはパニックになっています。窓の開けっ放し、玄関の開けっ放しは厳禁です。「おばあちゃんが窓を開けっ放しにしていた」「ケージの掃除中にねこさんが逃げ出し、開け放していた玄関から出てしまった」といった報告が多々あります。知らない土地では自分のテリトリーもありませんから、生きていくのも一苦労となってしまいます。家族全員でルールを守っていくことが重要です。

とはいえ、いつまでもケージに入れっ放しではねこさんはストレスが溜まりますし、運動不足になるので健康にも良くありません。慣れたら出してあげましょう。

保護後のごはんは?

脱水も気になるので、ウェットフードをあげるのがおすすめです。「ここはおいしいものが出てくる安全なところなんだ!」とわかってもらい、仲良くなるためにも、少しくらいジャンキーでもこの際いいと思います。ここぞという時は、ねこが喜ぶ棒状のパッケージの、ペースト状おやつ(ご存知のアレです)が有効です。私たちは、水分がとれるようにお湯で溶いてポタージュ状にしてあげています。

ファーストおしっこが大事!

緊張しているねこさんはトイレストライキ、ハンガーストライキに入ることも少なくありません。それでも通常は48時間以内にはごはんを食べます。おしっこについては、オスなら24時間、メスなら48時間経ってもしない場合は獣医さんに相談してみてください。

ねこは寝て待て。

多くのねこさんが、最初は緊張して固まってしまうと思います。性格によっては、ゴロスリになるのに数年を要する場合もあります。そんな変化を楽しむつもりで気長に見守ってあげてくださいね。目が合うたびに「シャー!」と言っていたねこさんが、少しずつ心を開いて慣れていく様子はなかなか達成感があるものです。最初から慣れているねこさんより感動すらあります。


いずれにしても、ねこさんを保護する時は、最後まで自分で責任を負う覚悟を持って行ってくださいね。その覚悟があれば、私たちもお手伝いしやすく、ねこさんも二次的に不幸にならないと思うのです。

(里親募集型保護猫カフェ CAT’S INN TOKYO