りんごねこ社員、入社しました。ハチたま ねこ社員「うーちゃん」のケース(後編)
愛しのりんごねこ #02
「りんごねこ」をご存知ですか? これは、自走型保護猫カフェ「ネコリパブリック」がつくった言葉。 FIV(ねこエイズウイルス)に感染したねこの愛称で、彼らへの偏見や差別をなくして譲渡率をアップさせたいという思いから生まれました。当サイトの運営やIoTねこヘルスケアトイレ「toletta」を開発する株式会社ハチたまは、このりんごねこの思想や活動に共感し、応援したいと考えています。連載初回を飾る「うーちゃん」のお話、前編に続いて入社後の様子をお伝えする後編です。
りんごねこのうーちゃんと、そうではないちゃま
通常、りんごねこがそれ以外のねこと一緒に暮らすことは望ましくありません。ウイルスが感染してしまう恐れがあるからです。ハチたまのメンバーも、複数の獣医師の意見を聞くなどして、うーちゃんたちにとって最善の暮らし方を検討しました。悩んだ末の選択は、うーちゃんとちゃまが一緒に暮らすことでした。
その理由は大きく2つ。まずは、うーちゃんとちゃまの絆がとても深く、離れ離れにしてしまうことの方がうーちゃんのストレスとなり、エイズの発症を早める要因になってしまう恐れがあること。そしてもう1つは、ウイルス感染の確率が高くないということです。ウイルス感染経路は母子感染のほか、血液感染や唾液感染などがありますが、その多くはねこ同士のケンカによる咬み傷から感染することがほとんどと言われています。仲良しのうーちゃんとちゃまが流血沙汰のケンカをする可能性はほぼありません。唾液感染が心配ではありますが、その確率はとても低いと言われています(※出典:ネコリパブリック)。
噂に聞いていた以上の仲良しぶりに、2頭を引き離さないで良かったと確信したのでした。
りんごねことそうでないねこの共存ルール
獣医師と相談し、2頭が一緒に暮らすにあたってのルールを設けました。
- うーちゃんとちゃまの食器を必ず分けて、それぞれ隔離して食事を与えること。
- 血が混じり合わないようにケガをしていないか注意すること
- ちゃまには定期的に血液検査をうけてもらい、ねこエイズに感染していないことを確認すること
これらのルールを守りながら、うーちゃんとちゃまは仲良く一緒に暮らしています。
うーちゃんとの出会いをきっかけに、ハチたまにも変化がありました。それは、会社の利益の一部をりんごねこ支援に役立てるという目標ができたことです。うーちゃんとの出会いをきっかけに、りんごねこについて詳しく知るようになったハチたまメンバー。りんごねこを取り巻く問題について理解を深めるなかで、「何か力になりたい」と考えるようになりました。うーちゃんへの敬愛を、うーちゃん以外のりんごねこのためにも生かしていこうという取り組みです。
具体的な支援の方法は検討中ですが、今後、本格的にサービス提供を開始し利益を得た時には最善の支援を開始できるよう計画を立てています。
これからも一緒に長く暮らすための抜歯手術
キャット・フレンドリーなオフィスでのんびりと暮らすうーちゃんですが、やはりちゃまと比べると動物病院へ通う機会が多いのが現実です。エイズ発症はしていないものの、免疫力が低いことがその原因と言われています。とりわけ、うーちゃんを悩ませていたのが歯肉炎。歯肉炎は、りんごねこに限らず、免疫力が低下すると発症しやすくなるそうです。ストレスとなりがちな多頭飼育にもよく見られるといい、ねこには極一般的な病気。ですが、食欲がなくなるほど進行してしまえば命取りにもなる病でもあります。
定期的に獣医師に診察してもらう中で、ある日、抜歯手術を提案されました。うーちゃんは歯が生えていることで歯肉に刺激が生まれてしまい、炎症が治まらない状態なのです。ちなみに、ねこは歯がなくなっても食事をすることができます。担当獣医師からは、抜歯手術を受けて炎症が完治する確率は7割と説明されました。手術は全身麻酔で行うので、当然うーちゃんの体に負担がかかります。リスクはあるけれど、うーちゃんとちゃまがこのまま一緒に仲良く暮らしていくためにも、手術に挑戦することにしたのです。
この記事を書いたほんの数日前に、うーちゃんは手術を受けました。経過は順調、食欲も旺盛です。うーちゃんは本当によくがんばっています。これからも大変なことはあるかもしれませんが、ちゃまと人間社員と支え合う暮らしは続いていきます。
(寄稿/ハチたま)