保護したねこは、りんごねこだった。ハチたま ねこ社員「うーちゃん」のケース(前編)

保護したねこは、りんごねこだった。ハチたま ねこ社員「うーちゃん」のケース(前編)

愛しのりんごねこ #01

「りんごねこ」をご存知ですか? これは、自走型保護猫カフェ「ネコリパブリック」がつくった言葉。 FIV(ねこエイズウイルス)に感染したねこの愛称で、彼らへの偏見や差別をなくして譲渡率をアップさせたいとの思いから生まれました。当サイトの運営を行うハチたまは、りんごねこの思想や活動に共感し、応援したいと考えています。その一環で始まった本連載の初回は、私たちがりんごねこを知るきっかけとなった「うーちゃん」のお話です。

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保護を待たれていたうーちゃん 

野良ねこ時代のうーちゃん(左)と、相棒のちゃま

薄三毛のやさしい毛色をしたうーちゃんは、神奈川県のとある場所で野良ねことして暮らしていました。餌やりボランティアさんから毎日決まった時間にごはんをもらいながら、相棒のちゃまを始めとする仲間たちと一緒に、気ままに過ごす日々。自由とはいえども、その暮らしは決して穏やかではありませんでした。気温が氷点下になる寒い日も、雨風が強く吹きつける日も、ずっと屋外で過ごさなければならないし、ケガをしたり病気になってしまうリスクも高いのです。また、うーちゃんたちのように人から餌をもらうなどして人馴れしているねこは、虐待などの人為的被害に遭いやすいケースもあるため注意が必要です。 

しかし、すべての野良ねこを保護することは難しいのが実情。ネコリパブリックでも保護できるねこの定員が埋まっている状態でした。そのため、うーちゃんは地域のボランティアさんにお世話をしてもらいながら、機会があれば保護や里親への譲渡を願われていたねこだったのです。 

うーちゃんの相棒・ちゃま。野良ねこらしからぬ ふっくら体型!

相棒と一緒に、野良ねこからねこ社員へ 

ちょうどそのころ、ねこを幸せにするサービスづくりに取り組み始めたハチたまでは、よりねこに寄り添った開発を行うべく、オフィスにねこ社員を迎えようとしていました。ハチたまが入社してもらいたいと考えたねこ社員像は、以下のようなもの。 

  • 保護ねこであること 
  • 夜は人がいないオフィスでも大丈夫なように自立した大人ねこであること 
  • ねこ社員同士で助け合っていけるように仲良しの2頭組み

上記の希望を聞いたネコリパブリックは、ぴったりのねこ探しを開始します。うーちゃんたちに毎日餌を与え見守ってくれていたボランティアさんと情報連携し、彼女たちのことをハチたまに紹介してくれたのです。たくましく生きながらも、毎日どこへ行くにも一緒なほどに大の仲良しであるうーちゃんとちゃまは、ハチたまが探していたねこ社員像にぴったりでした。彼女たちの様子を聞いたり写真を見たりして、2頭に強く惹かれたハチたまは、正式に保護を依頼することにしたのです。

野良時代からいつも一緒。とても仲良しなうーちゃんとちゃま

保護して判明した「ねこエイズウイルス感染」 

うーちゃんたちの保護を依頼するとき、ネコリパブリックからいくつかの条件が提示されました。それは、ねこが不幸にならないために必要な環境や、一緒に暮らす人間の心構えを問うもの。その1つに、「保護してみて病気が判明するかもしれないが受け入れられますか?」という確認がありました。もしも保護した後でねこに重大な病気が見つかっても、一度保護したねこを再び外へ戻すことはできません。ねこを保護することは、そうした責任を伴うのです。 

これらの条件を受けて、ハチたま社内でも議論が交わされました。さまざまな意見がありましたが「世界中のねこを幸せにすることを目標にしている私たちが、目の前のねこを幸せにできないでどうする」という結論に至り、最終的に保護の意志を覆すことはありませんでした。 

こうして無事に保護された2頭。まずは保護してくれたボランティアさんが動物病院へ連れて行ってくれて、健康診断と室内で暮らすための準備(シャンプーや虫下し)をしてもらうことになりました。血液検査の結果、ちゃまはFIV陰性。うーちゃんは陽性、ねこエイズウイルスに感染していることがわかったのです。

保護された直後の2頭。はじめてのケージに困惑気味

→ 後編へ続く

(寄稿/ハチたま